皇室の方々が、公式行事やパレードでご利用になられる傘は、「黒」を使用すると決められているそうです。理由については諸々ありそうですね(後述)。
皇室の方々が公務で利用する傘をはじめ、プライベートでも納入のご依頼があるのが、前原光榮商店(宮内庁御用達)です。材質にこだわり、ハンドメイドで作られる前原光榮商店の丈夫な傘が、皇室の方々にも高い評価を得ているようです。
黒い傘をご利用になることが多かった上皇陛下ですが、最近ではビニール傘を利用する機会も増えていらっしゃるとのことです。これは、ビニール傘であれば「遠くからでもお顔が見えやすい」という、上皇陛下のご配慮からだそうです。
遠方よりはるばる会いに来て下さった皆様を気遣った、さりげない配慮がとても温かく感じます。
上皇陛下が園遊会でご利用になったビニール傘です。
天皇専用車両(御料車)は、日本のトヨタ自動車が製造しています。それ以前は日産自動車が製造担当を任されていました。
「センチュリーロイヤル」と呼ばれるこの御料車は高級大型車両で、全長6.155m、幅2.05m、高さ1.78mのリムジン(8人乗)です。
特長としては、遠くからでも顔が良く見えるよう、窓枠が大きく設計されていることと、乗降りを考えて後部座席の扉が観音開きになっていることです。
御料用の特別専用車両という位置づけから、一般には一切販売を行っていないそうです。
公式行事において、皇室の方々がご利用になられる傘や御料車が黒に統一されているのは、皇室の慣例とされているようですが、きちんとした理由は分かりません。
わたしの推測にすぎないのですが、やはり「黒」という色のイメージが落ちついている、品格を感じる、奥ゆかしいと感じさせる色であるからではないでしょうか。
戦前の日本において「天皇家」は、権威化・神格化されたものであり、特に権威を象徴するようなイメージを求められていたことも、関係しているのかも知れません。
戦後を経て、権威化・神格化されたイメージは取り壊されることとなり、天皇家は日本国の象徴というような位置づけとなりました。
明仁上皇は戦後はじめて即位した天皇であり、その人柄がとても温かい印象を受けます。先のビニール傘の件でも触れましたが、皇室の慣例であった「黒い傘」の使用をとりやめ、お顔が良く見えるビニール傘を使用するなど、国民との距離が近くなるようなご配慮をしばしば感じます。